【インタビュー】米澤 徳秀(ヘアスタイリスト/ Yo-c salon オーナー)

~ニューヨークで活躍する日本人~

イーストビレッジに佇む隠れ家的ヘアサロン「Yo-c salon」のオーナー米澤 徳秀さん。ちょっぴりユニークな経歴と持ち前のガッツ精神で渡米から海外でのサロンワークを乗り切ったストーリーをお聞きしてきました!

このお仕事を選ばれたきっかけは?

実は僕、始めは美容師ではなくエンジニアとして働いていたんです。
神奈川大学の工学部を卒業し、就職し仕事内容はインド、ロシア、メキシコに当時三洋電機の工場を立ち上げる仕事、プラント開発全般の統括をしていました。


しかし社会に出てから「なんか自分のやりたいコトと違うな」と感じて、そこから美容師という華やかな職業に惹かれて転身しました。転身と言っても、美容室に直接リクルート交渉に行きましたが、アシスタントとして雇用するのには年齢が行き過ぎているのと免許がないことを理由に何件か断られました。

それでも諦められなくて、小田急線沿いにある年齢層高めの美容サロンの扉を叩いたらそこのオーナーが気に入ってくれて、サロンが閉まった後から、美容師のアシスタントとして働けるようノウハウを6ヶ月間学ばさせてもらえることになったんです。

その修行期間後にアシスタントとして採用してくれるか検討してもらえることになりました。やっとゲット出来た入り口だったので当時はとにかく頑張りました。日中は遊園地でバイトして、夕方から夜中にかけてサロンで猛勉強させてもらいましたよ。

その後、無事働かせてもらえることになり必死で下積みをし、数年後に東京青山にあるサロンに就職しました。パリに本店のある最新トレンド取り入れたオシャレなところで、仕事に対するモチベーションが更に上がりました。それから東京でトップスタイリストとして働いた後、海外に出てきました。


海外へ出られるきっかけは?

ヘアスタイリストとして海外でチャレンジしてみたいと思い立ち、働いているサロンのパリの本店で短期で働かせてもらえることになったんですが、フランス語が全然わからないまま接客しなければならなくて(笑)。かなり大変でしたが、それでも滞在期間中はなんとか手振りそぶりで乗り切ることが出来て、とてもいい経験になりました。

東京に戻ってすぐに、とある人脈がきっかけで、有名なヴィダル・サスーン(vidal sasson)のオスカー・ボンド(Oscar bond)氏が日本でヘアーショーのために来日するにあたり、アシスタントを1日限定で探しているということで、やらせてもらえることになったんです。

オスカーが僕のことを気に入ってくれて、「海外で挑戦したい」という話をしたら、「本気ならばニューヨークにおいでよ。」と言ってくれたことがきっかけで渡米することになったんです。あれは2003年の4月でした。

ライセンスの切り替えは大変でしたか?

ニューヨーク州の美容師免許証は基本的に日本の美容師免許を持っていれば、美容師免許を発行されてから5年以上の人であれば海外免許に切り替えることができます。

ニューヨークにいらして大変だったことは?

オスカーから3週間で自分の腕前を見せてくれって言われて、それが認められたらヘアースタイリストとして雇ってもらえるということになり、ソーホーでカットモデルのスカウトをしてカットさせてもらいました。英語もまだまだな自分がどのくらい出来るのかを彼に証明するのにあの時は必死で頑張りました。

それと、当初住んでいたマンハッタンのシェアハウスは二畳一間くらいでゴキブリとネズミがよく出て散々でした(笑)。

逆に嬉しかったことは?

ニューヨークに来て厳しい環境の中、なんとかやりくりしている自分に、『俺にはできる、俺しかできない!』と自分に言い聞かせていると自然にアドレナリンが出てきて毎日が楽しく過ごせましたね。街並みも何もかも空気ですら新鮮で心地よかったですよ。

本当に怖いもの、不安な気持ちなど少しもなく逆に毎日が嬉しくて楽しくて仕方なかったです。だから日本の御涙頂戴みたいな苦労話ではなくて、きつく苦しい時期だったけど心はいつもドキドキして楽しかったです。

どのようにして独立されたのですか?

もう少しいい環境の部屋に移りたくてマンハッタンからアストリアへ引っ越した時、アパートの家賃が$830で、その当時の僕の給料が$850。これでは生活していけないということで、自分のアパートや出張としてプライベートで依頼があったお客さんのカットをやるようになったんです。 オスカーのところで働いていましたが、だんだんプライベートでの仕事が増えていき、独立して今のサロンをオープンするに至りました。

ご自分でお店を立ち上げるに至るまでどんな苦労がありましたか?

まずお客様の確保、開業資金、ロケーション選びには苦労しました。。当時はアメリカのバブル絶頂期だったので早い者勝ちで物件がどんどん取られてしまい、見つかってもタッチの差で他の人に取られしまう状況でした。

僕はこのお店を見つけるのに3年かかりました。トータルで30、40店舗くらいは見ました。オファーしてももうすでに誰かに取られたりで、当時は全てのエリアが激戦区でした。

今の物件は、一番最初内見に来た時、古いのと汚いのでお化け屋敷みたいでした(笑)。ありえないと思っていたら、不動産屋の人が「絶対ここだよ!」って言い切るんですよ。その時僕も「確かにもうこれ以上探しても見つからないかも…」って思って勢いでここに決めました。

お店をあけるためのライセンスなどは、僕は弁護士さんに依頼しましたが、意外にスムースに手続きすることが出来ました。 衛生面の管理などは厳しくチェックされるのでそこは注意を払っています。


「Yo-c salon」はどんなサロンですか?

スタッフ一同日本の有名サロンで活躍した後に渡米しており、それぞれ15年以上の美容技術を持っている強者の集まったお店です。美容技術、接客ともに一流を極めています。その中でも例えばストレートパーマもマンハッタンでトップクラスを維持しています。

客層はオープン当初は日本人のお客様が多かったのですが、お店の評判が広がっていき今は 地元のイーストビッレジ在住のアメリカ人はもちろん、その他全米、海外からのお客様も多いです。

ヘアスタイリストと経営者の両方をすることになって何が一番変わりましたか。

昼間はスタイリストとして集中し、夜は経営者として数字のことを考えなければならないことですかね。税金のことも常に考えないといけないですし。睡眠時間も削らないといけない時もあるし、それは経営者の皆さんと一緒です。

オープンしてから現在までの12年間でお店を維持するにあたって大変だったことや、工夫されていることなどを教えてください。

1日1日を大切にすること、例えビジネスするのに大変な時期があっても、その瞬間をなげやりに過ごさないこと。それと、もし何か失敗しても「さぁまた今日からスタート!」と、新しく気持ちを切り替えて清々しくしていることを心がけています。ネガティブな気持ちでいたら、周りにもそれが伝わってうまくいくものがそうならなくなってしまいますからね。

ここ最近のヘアやファッションの変化、傾向について何か感じることはありますか?

僕が個人的に見ていて思うのが、12年間サイクルくらいでトレンドって繰り返されている感じがします。ニューヨークにいると最新のトレンドを肌で感じつつ色々な国の文化もミックスされてファッションや音楽、様々なカルチャーが刺激的だと思います!

最近注目しているアーティスト(美容業界で)はいらっしゃいますか?

仲良くしている日本人アーティストのマサさんという方がサンディエゴで「テラサロン(TERRA SALON)」というサロンを経営していて、テクニックはもちろんいいですし、かつ人間性が素晴らしいのでいつもいい刺激をもらいます。

休日はどんな風に過ごされていますか?

家族サービスです。3人の息子とたくさん遊んであげることかな。

今後の課題を教えて下さい。

現状維持も結構大変なんですが、“ベストな状態”を目指すこと。 それと日々の課題として筋トレをしっかり続けること。体力をつけることは気力にもつながるので、体を鍛えることで心身ともにヘルシーなライフが送れるよう心がけています。

これからNYで頑張ろうと思う若い世代にひと言お願いします。

目の前の小さなことでも大切に丁寧に取り組むことで、それが積み重なっていつか大きなものになっていくから、毎日を大切に!

NYで好きなレストランやバーを教えてください。

新鮮なお魚が食べたいなら「鮨 なかむら」はオススメ。あそこのカウンターで食べるお鮨は格別です! バーはパブリックホテル(PUBLIC Hotel)のラウンジの雰囲気が好きで時々行きます。

最近よく使うお気に入りアプリは?

子供を海に連れていく時とかにレンタカーするんだけど、使っているアプリで「ウェイズ(Waze)」。渋滞の時とは裏道を教えてくれて回避できて便利ですよ。

 



<プロフィール>
米澤 徳秀 (Yoshihide Yonezawa)
Webサイト
神奈川県出身、東京 青山でへアスタイリストとして活躍後 2003年にニューヨークへ。ビダル・サスーン(Vidal Sassoon)系列のオスカー・ボンド・サロン(Oscar bond salon)で活躍した後、2008年にイーストビレッジにYo-c salonを開業。

 

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