【インタビュー】加藤 忍 (Kato Sake Works オーナー/杜氏)

ニューヨークで造りたての美味しい日本酒を楽しもう!

ブルックリンの中でも今、アートやサブカルチャー、飲食業界にスタートアップビジネスなど、幅広い分野において最も勢いのあるブシュウィック。そこに酒蔵を構える「Kato Sake Works」は、ちょうど新型コロナウィルスによるロックダウンとお店のオープンが重なり、当初の予定とはだいぶ違うスタートをきることとなった。

そして、今年の4月1日に1周年を迎えられるということで、オーナーで杜氏の加藤忍さんにお話を伺いました。

お店のオープンと新型コロナでロックダウンが開始されたタイミングが重なりましたが、振り返られていかがですか。

ライセンスが取れるまでにかなり時間を要し、去年の2月11日に無事ライセンスを取得でき、そこから急いでタップルームオープンの準備を始めたのですが、3月中旬にロックダウンが始まりました。

ちょうど準備の真っ最中で予行演習を兼ねたソフトオープンと称し、お世話になった方や友人を招いて手作りのタップルームにて造りたての日本酒をお披露目する予定でしたが、急遽それが出来なくなり、続いてタップルームそのものがオープン出来ないという状況に直面しました。

幸いうちは「エッセンシャル(※1)」で営業自体はしてもOKということで、タンクの中にある日本酒を慌ててボトル詰めすることにしました。 オープン直前までタップルーム作りに力を入れていて、バーで日本酒を提供できなくとも、ボトルを販売することが出来れば、タンクの中の日本酒を処分しなくて済むので不幸中の幸いでした。

急遽ボトルの販売に力を入れる方向にシフトチェンジしたのですが、今度は持ち帰り用の紙袋が必要になるのですが、飲食店は皆んな一斉にそういった備品が必要になったので、品薄になり実際にうちが手に入れられるまで時間がかかりました。 全体的に他の飲食店の流れよりも2ヵ月遅れで、なんとか販売できる形が整ったという感じです。

実際に販売、卸しはどのように展開していかれたのですか。

ご縁があって一番初めに卸すことになったのは、同じブシュウィックでご近所づきあいのあるアート&クラフトバーの「MIKA」さんです。

そこからうちを知ってくれたリカーストアが「コロナの最中にオープンしたなんて大変だね、じゃーうちでも取り扱わせてよ!」と言ってくれたり、あるところは「うちに配送車はありません」と言ったらピックアップに来てくれたりと、有難いことにこんなご時世、周りの人たちにすごく助けてもらっています。

ローカルでの反響はいかがですか。

ロックダウン中に、近所を散策している人たちがここを見つけて「他はクローズしているのに、ここは開いている! 何屋だ!? 」って興味をもってくれて、うちがきっかけで日本酒を飲む様になったというお客さんもいて常連さんも増えているんです。

中には「何かあったらいつでも言ってよ!」なんて言うご近所さんもいて、アットホームな雰囲気があっていいですよ。

最寄りの駅だとLラインのMorganかJeffersonになりますが、雑多で下町的なところもあれば、ここ数年でだいぶ新しいアパートメントや複合施設、お店などが急激に増えていて常に新しい発見があって面白いエリアです。

商品のネーミングがシンプルでアイコニックな感じが印象的ですね。

そもそも日本酒のイメージって複雑で、「特別純米大吟醸」となるとそこに3つの要素が入って、今の人たちは日本酒を飲む機会が少ない上に難しすぎますよね。 シンプルにすることで親しみやすさを感じて日本酒を気軽に楽しめてもらえたらいいなって思います。

例えばレストランで「純米ってなんですか?」って聞いて、ソムリエさんが一生懸命に説明するよりか、シンプルに「まずはコチラを飲んでみて下さい。」ってうちのお酒を飲んで、どんな飲み口かを知ってもらえたらいいです。

うちで純米を覚えて好きになってくれたお客さんが、次に別のレストランに行ってメニューを見て、うちの「純米」を参考に次に飲むお酒を選んでくれたら嬉しいです。

新作の「特別 #1」は複雑なレシピでちょっと色気を出して作ってみました。一番最初に作ったので「#1」として、次もレシピを変えて醸造していこうと考えています。

日本でも「特別純米」や「特別本醸造」などありますが、その定義はそれぞれ酒蔵次第なんです。要は“リミテッドエディション”の様な感じで捉えてもらえると分かりやいのかと。

オーナーで杜氏の加藤忍さんと奥様のあやこさん。

ボトルのデザインもシンプル且つポップで日本酒に有り勝ちな堅苦しくて難しい言葉が並んでいなところも良いですね。

今うちでデザインを手がけているカップルがいて、出会いは彼らがこの辺を散歩している時、たまたまうちを見つけて気に入って「ここのお店のデザインをやりたいのですが…」って声かけてくれたんです。「うちはそんな予算はないですよ(笑)」って言ったら「お酒でいいです」って言うもんで(笑)、そこからお願いすることになりました。

この素敵なタップルームをまだ解放できないのは残念ですが、店頭のレイアウトは雰囲気があって素敵ですね。

「お金がない分、作れるものは自分たちで」をモットーにやっています。内装は全て手作りです。あとは、「こんなのがあったらいいな~」と困っているとご近所さんや友人が作って持ってきてくれたり(笑)、本当に有難いです。

米はカリフォルニア産のカルローズ米を使用し、お水はミネラルが少ない超軟水で、まろやかな口当たりに。そし酒造りに欠かせない麹菌は日本から特別に取り寄せているんだそう。

・「純米」は一番クリアで白ワインに合わせるようなお料理と相性がグッド。
・「にごり」はクリーミーさが口に残るのでメキシカンやタイなどのスパイシーな料理がオススメ。
・「生」は派手なアメリカ料理に合わせる意外にいいんだとか。
・「生酛 (きもと)」はくさみやお米の味などややクセがあり、日本酒好きでも上級者向け。
・「味醂酒 (みりん)」は食前食後酒としてオススメ。お好みでソーダで割ったり、クラッシュアイスに注いでみたり、アイスクリームにかけたり、デザートワインのような感覚でも楽しめるそうです。


お店にある神棚は忍さんのアメリカ人のご友人の手作りによるもの。ネットで「shrine」を検索し見様見真似で作成してくれたんだとか。



ラボ兼オフィススペースには醪や麹を検査する試験管や顕微鏡などが並んでいます。




ローカルの人たちから愛されている街の酒蔵というようなアットホームな「Kato Sake Works」、是非ブシュウィックを散策される際は立ち寄ってほしい一軒。

(※1 エッセンシャルワーカー) 市内での新型コロナウイルスの影響による外出制限下でも、市民の生活を維持するために働く不可欠な労働者。

Kato Sake Works
5 Central Ave, Space B, Brooklyn, NY 11206
Webサイト
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