ニューヨークで初めての妊娠。 妊娠期間中の様々な体や心の不調を抱えて仕事に通った日々(妊娠後期篇)。

新米ママが綴るニューヨーク子育てコラム Vol. 3

家族や親しい友人達から離れた海外での妊娠、出産、育児は全てが戸惑いと不安だらけ。日々奮闘する新米ママのニューヨーク子育てコラム第3弾。


 

お腹がだんだん大きくなり目立ち始めるともう数日おきに体の色んな部分に今まで体験したことのないトラブルが出てきます。

 

当時私はパートタイムで朝10時から午後3時の5時間だけカフェで勤務をしていました。、オープン前の掃除機とモップがけは毎朝20分くらいで終えていたのに、この頃は倍の40分もかかってしまってい、職場のスタッフがオープンに間に合うように優しく手伝ってくれていました。

 

妊娠してつわりが終わってからの私の食欲は凄まじくこの5時間の勤務で途中に休憩がなかったため、何も口に入れない時間が5時間以上続いてしまうとお腹が空いてしまってどうしようもなくなるので、お店がオープンした後、お客さんが来てない時はお客さんに見えないようにサンドイッチを頬張っていました (笑)。

お腹が大きくなると、だんだん胃がお腹に圧迫されるため1度にたくさんの量が食べれないのですが、空腹を感じると少し気持ち悪くなったりイライラしたりします。

食べ物の好みもこれまでと変わり揚げ物やチーズなどこってりとしたものが大好きになりました。

妊娠前や今現在、そのようなこってりとしたものを食べると胃もたれを感じたりしますが、不思議と妊娠中はヘビーなものを食べても翌朝には胃の中はスカスカで胃もたれも感じたことは全くなく、。

やはりお腹の中の”もうひとり”に全て吸い取られていると感じずにはいれませんでした。

 

上半身が重くなってきていたためか、常に足首から脛が痛く、仕事が終わったらすぐに座ってしばらく立ち上がるのも億劫でした。

夜は旦那さんが時々足をマッサージしてくれていたのを覚えています。

そのマッサージさえも最初の何分かは足がパンパンに張っていて何にも感じないのです。そして何分かすると少しでも触れた箇所に激痛を感じて唸っていました。その激痛がまた何分かすると徐々に治っていき、太ももから足首にかけて血液の流れをジュワーっと感じてポカポカしてきて眠りにつけるといったルーティーンでした。

 

出産を経験した方はほぼ全員体験していると思いますが、妊娠後期あたりになると睡眠が一度に続けて長くできなくなります。どんなに疲れていても熟睡できないのです。お腹が大きくなって呼吸が息苦しいのもあるし、産後に必要な授乳のための細切れ睡眠の生活の体質に妊婦さんが変化していくのではとも言われているそうです。

それでなくても妊娠初期からの眠気と毎日戦っているのに徐々に夜も熟睡できなくなるのです。

よく妊婦の奥様がいらっしゃる旦那様は『日中もよく寝るよなー。』って言ったり思ったりしてると思いますが、妊婦さんは普通の人より数倍眠いです。常に眠いです。

 

お腹が目立ってもニューヨークのマンハッタン行きの朝のラッシュアワーではほぼ座れません。席を譲ってもらえることはその時間帯はあまりなかったです。

こちらの電車のつり革はとっても高い場所にあり、私は身長155cmもないので常につま先立ちをしていないとつり革に手が届きません。

この時期の満員電車の辛さはピークに達していました。

その頃に私がいつも通り電車で座れなくて立っていると、アメリカ人の女性が(その人も満員電車の中立っていました。)

『あなた大丈夫??座りたいはずでしょ?!
私も二人の母親だからその辛さは知ってるわ。
でも私が腹がたつのは、そんな辛い思いをして
電車に乗っている妊婦が立っていて
誰も席を譲らないからよ!』

と車両にいる座っている乗客みんなに指をさしながら大声で笑顔で話しかけてきたのです。

 

やっぱりニューヨークの女性は強くて優しいなぁと心から感心しました。私は私で毎朝席を譲ってもらえないからと心が折れてしまうようでは、ろくに仕事にも通えないだろうから、そこはタフでいようと心に決めていました。

(座れなくて辛くても笑顔で立っていよう! 毎朝仕事に通えることだけで感謝! 体が素早く動かせず仕事に時間がかかるようになってもいつも嫌な顔1つもせず私と世間話をしてくれる同僚に感謝!私は幸せな妊婦だ!)と。

 

だから彼女には

“I’m O.K., but thank you for caring about me. I’m really glad for your kindness.”
私は大丈夫です。でも私の事を気にかけてくれてありがとう。お気遣いとても嬉しいいです。

と伝えました。

 

もうこの頃は随分精神的に図太くなっていました (笑)。その象徴的なストーリーのひとつ、。

ニューヨークあるあるですが、ニューヨークの地下鉄にはホームレスの人が通勤電車に乗って座席をベッド代わりにして寝てることがよくあって、その車両には異臭が漂っているため、ニューヨーカーたちは素早く隣の車両に移ります。なのでそのホームレスさんがいる車両は空いているのです!!

私は喜んでその車両に乗って広い座席に座って満面の笑みで本を読みながらゆとりのある通勤時間を味わっていました。

 

『今日は座れた?』

ってその日に仕事で同僚で言われた時に

『ホームレスさんのおかげで最初から最後までずっと座れた!私もう匂いなんて全然気にならない!あのホームレスさんに感謝!』

って思わすハイテンションで言ったら苦笑いされたのを覚えています (笑)。

 

実際、妊娠からは些細なことにイライラしたりして接客もいつも笑顔でできなかったり、少し同僚と言い合いになったりしたこともありました。

4週間に1度は定期検診で仕事も早退しなくてはいけなくて、夕方からのスタッフが誰か早めに出勤してくれたりもしました。

今思えば、同僚の皆んなが辛抱強く私を受け入れてくれてたなと思います。

本当にありがたいことです。

 

ある日、仕事を終えて帰宅し家事や犬の散歩も終えて、横になってYoutubeでのんびり日本のサスペンスドラマ観ていました。

その時、悪役にやたらと腹が立っては画面に向かって文句を吐き、怒り、かわいそうなシーンになると溢れんばかりに涙がポロポロ出てきて、終いには号泣している自分がいました。

 

(周りの人にイライラするのは私自身が原因だったんだ。。そっか。。私だったんだ。)

 

と感情的な自分がいたことを冷静に受け入れた日を鮮明に覚えています。

 

私が妊娠後期を迎えていたのは年末、ニューヨークの冬でした。

予定日は年明けの2月の後半だったので仕事は1月いっぱいまでと最初は決めていましたが、11月頃に足の痛みや通勤電車での体の限界を感じていました。

毎日笑顔で乗り切ろうとなんとかやっていましたが、精神的にも限界を感じることが多々ありました。

それで私は12月いっぱい年納めで仕事を退職することを決意しました。

 

退職をした時に

『心が弱い。
そんな状況でも働かなければいけない人なんていっぱいいるのに。』

と、とある人に言われました。

その言葉が正しいのか正しくないのか未だに私自身よく理解できていません。。

 

ですが、妊娠中に日本からニューヨークに休暇を過ごしに来た古い知人が私に教えてくれたことがありました。

『体や心が少しでもしんどくなったら、
周りの人の目や声を気にするんじゃなくて
お腹の中の子供に聞いてみればいい。まだ行けるかどうか。
必ずお母さんを通してメッセージが届くから。』と。

1ヶ月早い退職を決意する前に私はお腹の中の我が子にまだ1月末までできるかなぁと何気なく訪ねたのです。

そうすると今まで抱えていた足の痛みや呼吸の息苦しさがどっと押し寄せてきました。今まで色んな精神論で自分を言い聞かせてきたんだなと実感しました。

 

そうして12月いっぱいで仕事を辞め、数日すると足の痛みは和らいでいきました。そうすると心も穏やかになっていきました。

そして臨月になる前にお腹の中の息子は健康に生まれてきてくれました。

 

なので私は今でも予定より早く退職を決意したことに関しては何も後悔していないのです。

ちゃんと我が子の声を聞けたと思っています。

もちろん一緒にお仕事をしてくれた同僚たちには今でも感謝の気持ちでいっぱいです。

 

この記事を読んでいて今現在妊娠している人や、以前妊娠していた人たちそれぞれ思おうことは違うと思います。

それでいいのではないかなと思います。

母親になるということは人それぞれ違う経験をして、それぞれの痛みを乗り越えていくことでもありますから。

私は少しでもこの妊娠期間に味わった自分の経験を通してこの先色々な状況の中でお母さんになっていく女性たちを励ませて元気付けられればいいなと思っています。

少しでも前向きに、今を幸せに感じれるように一緒にお母さんになっていきたいですね。

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