日本では出産を控えた女性が育児休暇を取ることが一般的でしたが、最近は男性が育児休暇を取ることについて話題になっていますね。しかしここ最近までニューヨーク州では日本の一般的な育児休暇の様なものは存在しませんでした。
ところが、2016年にニューヨーク州のアンドリュークオモ知事が「ニューヨークステート ファミリー リーブ(NEW YORK STATE PAID FAMILY LEAVE)」というニューヨーク州有給家族休暇法を制定しました。
偶然にも私が息子を出産した2018年1月1日からこの制度が施行されることになったのです。
このファミリーリーブただの育児休暇というよりは下記の3つのように具体的な目的が掲げられています。
ー子供との絆を築く人たちへの経済的な心配を減らすため。
ー重病を患っている家族の看病、介護をする人たちのため。
ー軍事サービスに召集された残された家族のプレッシャーのため。
上記の対象者が休暇中に部分的なお給料が支給される制度となっています。そしてとても重要で心強いルールは、対象者が休暇中に部分的なお給料が支給される制度となっていることと、この休暇終了後も休暇取得前と同等の職務内容を保証するという点です。
この有給家族休暇の受給内容は2018年から4年間で段階を踏んで行きます。有給休暇は取得初日から52週間の間に1度に全部、又は1日単位で取得可能です。
まずはスタートした私が出産した2018年:
最大有給取得期間 8週間
支給金額 従業員の平均週給(Average Weekly Wage)の50%
(ただし最大ニューヨーク州平均週給賃金の50%まで)
2019年:
最大有給取得期間 10週間
支給金額 従業員の平均週給の55%
(ただし最大ニューヨーク州平均週給賃金の55%まで)
2020年:
最大有給取得期間 10週間
支給金額 従業員の平均週給の60%
(ただし最大ニューヨーク州平均週給賃金の60%まで)
2021年:
最大有給取得期間 12 週間
支給金額 従業員の平均週給67%
(ただし最大ニューヨーク州平均賃金の67%まで)
<条件>
フルタイム従業員: 週20時間以上働いていれば26週間の継続勤務後に有給休暇を取得できます。パートタイム従業員: 週20時間未満の勤務の場合、175時間の勤務後に有給休暇を取得できます。(継続勤務の必要はありません。)
<種類>
1.子供との絆を形成するための休暇 (Bonding Leave)
出産を控えている方、養子をもらう方や里親になる方はお子様との絆を形成するために2018年は最大8週間の有給休暇取得が可能。この有給休暇は産後、または里親や里子を迎えてから最初の12か月間に取得します。
2.重病を患う近親者の介護 (Caring for a Close Relative with a Serious Health Condition)
近親者とは、配偶者、ドメスティックパートナー、子供、親、義理の親、祖父母、孫など。
重病とは、
1)病院、ホスピスやナーシングホームに入所している。
2)医療従事者による継続的な治療や管理が必要な病気、怪我、心身障害。入院や合併症を引き起こさない限り、美容整形手術は有給休暇の正当な理由になりません。
3).軍務召集 (Military Active Duty Deployment)
配偶者、ドメスティックパートナー、子供や親が海外軍務に召集された時に有給休暇を取得することができます。ただし軍事イベントには適応されません。
<申請方法>
雇用先の保険会社が有給家族休暇の通知を受けた後、保険会社が定められた休暇中のお金を支払うというという仕組みになります。もし雇用先が自社の保険を持っていれば、雇用主が手続きをしてベネフィットを支払います。
1.雇用先に通知する。
休暇を始める30日よりも前に必ず知らせること。
2.必要書類を集める。
雇用主または今日先の保険会社に必要書類をもらう。または以下のリンクよりダウンロードします。
– Bond with a Newborn, a Newly Adopted or Faster Child
– Care for a Family Member with a Serious Health Condition
– Assist Families in Connection with a Military Deployment
3.必要事項を記入し、提出する。
Request for Paid Family Leaves (Form PFL-1)に記入し、自分用にコピーをして雇用主に提出します。雇用主は自社の項目に記入し、3日以内にあなたに返却しなければいけません。もし雇用主が返却しなければ、次のステップに行き、雇用主の保健会社 (Paid Family Leave Insurance Carrier)へ直接書類を提出します。
4.関連書類を取得して添付する。
出産の場合:母親(以下のどれか)
ー出生証明
ー母親の名前と出産(予定)日が記載された医療従事者による妊娠、出産の書類
父親(以下のどれか)
ー出生証明
ー認知証明書類
ー母親の名前と出産(予定)日と母親や子どもとの関係が記載された医療従事者による妊娠、出産の書類
里親の場合
ー最寄りの服しかやボランティア機関から発行された手紙
ー第二の親の名前が書類に記載されていなければ、上記書類のコピーと里親との関係を証明する書類
養子縁組の場合
ー養子縁組の法的証明
ー第二の親の名前が書類に記載されていなければ、上記書類のコピーと養子の親権者との関係を証明する書類
重病を患う近親者の介護の場合
ー被介護者の医療従事者からの証明
軍関連の休暇の場合
ーUS Department of Labor Military Family Leave (Federal Military Leave Form)
ー軍務書類
ー休暇理由の関連書類
5.申請書と関連書類を提出する。
雇用主の保険会社へ書類を提出します。有給休暇が始まる前または取得初日から30日以内に提出します。申請後、18日以内に保険会社から返答がきます。
2018年2月の半ばが出産予定日だった我が家の場合は旦那が3週間の有給家族休暇の申請を職場にしました。実際は早産で1月の出産になりましたが実際ベネフィットが振り込まれるまでの期間はそんなに長くなかったような記憶があります。
私たち夫婦は初めての出産で夫婦二人だけの育児がどんなものなのか、具体的にどれくらいの休暇が必要なのか全く分からない状態でした。
今思えば2018年の最長取得期間の8週間の全てこの休暇を取ればよかったと後悔しています。きっと旦那は当時の職場の状況を考慮してこの3週間という期間にしたのだろうと思います。
2018年よりも今年の2019年の方が支給額も5%アップで取得期間も8週間から10週間に長くなっていて、来年からはもっと充実した内容になっていますね。
日本の育児休暇の取得期間とは比べ物にならないくらい産後の有給休暇としては短い期間ですが、今まで全くそういった有給休暇がなかったニューヨーク市民にとってはとてもありがたい制度です。
有給休暇以外にも出産費用や医療保険の毎月の掛け金など、日本に比べてここニューヨークはとても高額です。まだまだ福利厚生の面ではニューヨーク州の行政が取り組まなければいけないことが沢山あると思います。
将来こういった州の条例が少しでも多くのニューヨーク市民の生活の安全のためにできることを私も市民として切実に願っています。