ニューヨーク州では日本のような国や州などの行政による「出産育児手当」といったものがなく、「ニューヨークステート・ファミリー・リーブ(NEW YORK STATE PAID FAMILY LEAVE)」という「有給家族休暇」制度が2018年より執行されました。この制度は産後の人のみならず、家族が入院したり、軍に入った時などに8週間から12週間に休暇を取得することが可能で、その間は部分的な給料が支給される制度になります。
他にはシングルマザーや低所得者への条件付きの行政サポートなどがあり状況にマッチする方は有利に活用できるでしょう。 また、行政による「出産育児手当」がない分、企業によっては社員やその家族への手当やサポートを充実させているところもあります。では大手企業が提示している手当の内容やその他のサポートをみてみましょう。
大手企業による「出産育児手当」の内容
ーAmazon 4週間の産前有給休暇と10週間の産後有給休暇(母親、父親、養父母)に加え、6週間の無給休暇を提供。
ーBill & Maria Gates Foundation 母親、父親に52週間の産後有給休暇を提供。
ーBloomberg 母親、父親に18週間の産後有給休暇を提供。
ーFacebook 16週間の産後有給休暇(母親、父親、養父母)を提供。出産時に4,000ドルの一時金支給。
ーGoogle 母親に18週間、父親、養父母に12週間の産後有給休暇を提供。
ーJonson & Jonson 母親に15週間(帝王切開の場合は17週間)、父親に8週間の産後有給休暇を提供。
ーMicrosoft 母親に20週間、父親、養父母に12週間の産後有給休暇を提供。
ーNetflix 母親、父親に産後1年間の有給休暇を提供。
ーPinterest 母親に12週間、父親に4週間の産後有給休暇を提供。
ーTwitter 母親に20週間、父親に10週間の産後有給休暇を提供。
ーYahoo 母親に16週間、父親に8週間の産後有給休暇を提供。出産時に500ドルの一時金支給。
ニューヨーク州によるシングルマザーのための手当
ニューヨーク州はシングルマザーのための手当や制度が非常に充実しており、アメリカの他の州にも大きな影響を与えていると言われています。
ーニューヨーク・ファミリー・アシスタンス (New York Family Assistance)
この手当はTANFガイドラインに基づいて妊婦と18歳以下の子供に「テンポラリー・キャッシュ・アシスタンス(Temporary Cash Assistance)」という一時援助金が支払われる制度です。
ーニューヨーク・チャイルド・ヘルスケア・プラス (New York Child Health Care Plus=CHPLUS)
シングルマザーが利用している子供のための保険制度。毎月の掛け金が$10程度からで負担額もとても少ない内容になっています。詳しくはコチラから。
ーメディケイド・エクセス・インカム (Medicaid Excess Income)
アメリカでは保険のカバーがないと出産費用が高額になりますが、シングルマザーの場合ニューヨークでは手厚い待遇を受けることが可能です。基本的に年収がいくら以下であるという規定によりますが、規定以上の収入があっても条件付きで待遇が受けれる場合もあります。
育児手当ではないけれども低所得者が受給できる手当
ーニューヨーク・サプレメンタル・ニュートリシャン アシスタンス プログラム (New York Supplemental Nutrition Assistance Program=SNAP)
SNAPは低所得者に対しての食費のサポートをするもので、シングルマザー以外にも老人や障害者にも幅広く提供されている手当です。年収と家族の人数によって手当配分の基準が定められています。詳しくはコチラから。
ーニューヨーク・メディケイド (New York Medicaid)
低所得者全体が対象となる医療保険の手当です。19~65歳でPoverty level(貧困指数の所得レベル)が138%以下のすべての人が対象となっているそうです。
シングルマザーへの手当が他の州と比べて手厚いと言われていても、ここニューヨークでの家賃の相場や物価を総合して考えると決してラクに生活できるレベルではありません。そして、子供を預けるにもデイケアは高額なため、その為の費用を捻出すること自体厳しいのが現実です。
ここアメリカでの妊娠、出産、子育ては日本に比べてかなりお金がかかると言えるでしょう。今後、子育てのプランがあるご家庭は、州や区による手当や民間によるサービスの内容に関して、時間がある時に予めしっかりとリサーチしておくと不安がないでしょう。