アメリカで2歳から4歳までの私立の幼稚園を「プリスクール (Pre-School)」、そのプリスクール就学前の年齢の0歳から預けられる保育園を「デイケア (Day Care)」と呼びます。
人気のデイケアやプリスクールは、常に募集定員が埋まっているため、ウェイティングリストの順番待ちをしなければなりません。そのため、子供が生まれる前からすでに準備している家庭もめずらしくありません。
ニューヨークには、市内に住む全4歳児が「プリ-キンダーガーデン(Pre-K)」と呼ばれる公立の幼稚園に無料で入れる『Pre-K for All』と呼ばれるシステムがあります。このシステムは、2014年に市長に当選したビル・デブラシオ (Bill de Blasio)氏によって開始され、現在ではエリアにより3歳から無料で入れる「Universal Pre-K (3K for All)」も増えてきています。
皆さんもご存知のキンダーガーデンは5歳から始まる全日制の義務教育になり、日本でいうところの幼稚園の年長さんにあたります。 では、義務教育の5歳になるまでに通うニューヨークのデイケアやプリスクールは一体どのようなところでしょうか。
気になる料金や時間、プログラムの内容などを徹底リサーチ!
1. 破格の値段
ニューヨークではデイケアやナニー、ベビーシッターなどにかかる幼児1人の年間の金額が平均約$16,250と言われており、2歳頃から通える私立のプリスクールは年間で約$25,000ほどかかるところもあります。
デイケアでは年齢が低ければ低いほど保育料は高くなり、エリアによっても料金の差があります。この値段は大げさな見積もりではなく産後働くママたちがフルタイムで子供を預けるために実際に支払っている値段になります。
昨年は「ニューヨークの保育料は公立大学の学費より高い (Child Care Costs More Than College In NY) 」という記事が出たほどです。 また、プリスクールの場合は基本的に7月8月は夏休みに入るため、その間ベビーシッターを雇ったり、習い事やサマーキャンプなどに通わせるなどして親は仕事とのバランスをとらなくてはなりません。
2. スクールスケジュール
基本的に週5日預けることができますが、他にも3日、2日などそれぞれデイケアやプリスクールで、それぞれの家庭が選べるよう独自のスケジュールを実行していますが、平均すると朝8時頃から午後3時頃までの時間帯が主な預かり時間になるので、親や身内、ベビーシッターなどがお迎えにいかなくてはなりません。
また、3時以降の預かりはオプションとして「アフタースクール」というプログラムにより6時くらいまで子供を預けることが可能になります。しかしお迎えは時間厳守のため、少しでも予定時間をすぎると追加料金が発生します。
3. ニューヨークママたちの産後の仕事復帰の現状
ニューヨークでは働きながら幼い子供を育てるということは逆にお金がかかり、家計が圧迫されるという家庭も多いのが現実です。育休というシステムも最大産後10週間程度で、産後2~3か月頃から職場に復帰しなければなりません。
自分のお給料がほとんどデイケアに消えてでも、「今のキャリアのポジションを維持したい」や、「一度仕事に穴を開けてしまうとこの先職場に復帰できない」など理由は様々です。
それでも二人目以降の子供ができると、デイケアやプリスクールの費用が原因で仕事を一度離れ、公立の学校が始まるまで子育てに専念するママたちもたくさんいます。
<こんなニューヨークママたちもいるよ!>
ー産後1年経ったくらいから旦那の仕事の休みの日や、旦那の出勤が夕方からの時間帯に限り、パートタイムに出ています。(30代・2歳児のママ)
ー1歳になる下の子を週に2日だけデイケアに預け、フリーランスの仕事と家事、育児を両立しています。 (40代・5歳と1歳児のママ)
ーナースの職場では子供を産むと夜勤のシフトを入れる人が多いと聞きます。うちも同じで、旦那が日中に仕事をし、夕方から夜勤のシフトに入るため子供を旦那にバトンタッチして出勤し、お互いの仕事の時間が重なる時だけデイケアに預けています。(30代・1歳児ママ)
ー出産ギリギリまでフルタイムでしっかり働いたので、産後は職場へ戻らず子供がキンダーが始まるまってから仕事復帰をする予定です。(40代・ママ)
4. エリアによって違うデイケア文化
世界中から人が集まるニューヨークには、それぞれの人種がぞれぞれの言語や文化でコミュニティをもっています。デイケアやプレスクールも同じく、英語だけでなくその国の言語で、また文化を尊重した学び舎として存在します。
例えば、特に人口が多いチャイニーズ系のデイケアやプレスクール、ヒスパニック系の人が多く住むエリアではその人たちが営んでいるデイケアなどがあります。また、日系のデイケア、プリスクールもいくつかあり、そこでは多くの子供たちが多様性、多文化を学んでいます。
<ニューヨークにある日系の保育園、デイケアサービス>
・リセ・ケネディ日本人学校 (マンハッタン)
1964年にフランス人のデュマス婦人によってニューヨーク在住フランス人子弟のためのフランス人学校として設立され、現在のグランドセントラル駅近くに校舎を移した1997年に理事・長園田幸司氏により、日本人学校として全日幼児部、土曜補習校が開設されました。図書室や室内体育館などもあり、まるで日本の学校と同じような雰囲気で学ぶことができます。
・スターチャイルド (マンハッタン)
イーストビレッジにある「スターチャイルド」では日本の行事を通じて日本文化に触れ、社会性や協調性を学べる場として人気があります。また、正しい日本語の使い方や発音、語彙を学ぶ補習塾や音楽クラスなど他のプログラムも充実しています
・あおぞら学園 (ブルックリン)
ブルックリンにある「あおぞら学園」は日本の文化を大切にし、日本らしい年間行事や親子で体験できるイベントなどが盛りだくさん! また「食育」にも力を入れており、昼食もおやつも質の高いオーガニックで旬の素材を使って作ったものを中心に提供しているそうです。
・こどものくに幼稚園 (ウエストチェスター)
駐在系の日本人ファミリーが多く住むウエストチェスターエリアにある幼稚園で、英語を学べるESLや現地校とのふれあいなどアメリカ社会との交流を積極的に推進している。栄養満点の日本食を中心とした給食日とお弁当日があります。
・グリニッチ国際学園 (コネチカット州)、あすなろ国際学園IAAS (ニュージャージー州)
日本の伝統文化を尊重し、グローバルな教育を目指している両学園は日本語と英語のバイリンガル教育に加えて、専任の音楽、リトミック、ダンス、空手の先生などによる授業が満載。
今年はCOVID-19の影響で閉園を余儀なくされたデイケアやプリスクールがニューヨークにもあります。しかし、オンライン授業や新しいプログラムなどを導入し子供たち、親たちが快く過ごせるよう新たな環境作りがされているようです。安心して子供たちが遊び、学べる日が1日でも早くくることを祈ります。