アメリカ・ニューヨーク医療制度

  • 公開日: 2019-09-02
  • 最終更新日: 2019-09-05
  • 医療

アメリカには日本のような国民皆保険制度がありません。雇用先で保険が提供されている人は問題ありませんが、そうでない人は個人で民間の保険に加入しなければなりません。アメリカの医療技術は世界から見て進んでいますが治療費はとてつもなく高額です。

また医療保険自体に様々な種類や金額設定があり、加入している保険が自分のかかりつけの病院と提携しているかいないか、または治療の内容によっては保険が効かなかったりなどあるので、その都度、自分の保険の内容を確認しなければなりません。そこで今回はアメリカの医療制度のしくみについて簡単にご紹介します。

 

昨今のアメリカ医療制度の変化

オバマ政権が進めた医療保険制度改革(オバマケア)により2014年1月1日から国民の保険加入義務が施行されました。それを機に健康保険に加入していない人にはペナルティ(罰金)が課せられるようになりました。

ところがこのオバマケア、保険料は年々上がり、補助金をもらえたとしても自己負担分の保険料だけで家計をかなり圧迫するという事態になってしまいました。

そこでトランプ政権はオバマケアを廃止し新しいシステムに変えると切り出しました。ところがトランプ政権はオバマケアの改革にそこまで組織的な手が回っていないのが現状で、オバマケア自体は今も存在しています。

2019年度分の保険の選択

2019年からはペナルティがなくなるのでオバマケア保険に入るのもオバマケアでない保険(非オバマケア保険)に入るのも任意で決めることができるようになりました。

オバマケアでは以下の10項目は必ず保証します。
長引く治療のせいで契約が切れたり、補償額の限定額も年間の保証上限もありません。

ーWalk-in、Outpatientの外来サービス(Ambulatory patient services)
ー緊急時サービス(Emergency services)
ー入院(Hospitalization)
ーマタニティ、新生児ケア(Maternity/newborn care)
ー精神科、薬物乱用ケア(Mental health and substance use disorder services)
ー処方箋(Prescription drugs)
ーリハビリ(Rehabilitative services/devices)
ーラボテスト、検査(Lab services)
ー予防、健康診断、慢性病対処(Preventive/wellness services and chronic disease management)
ー小児科ケア(Pediatric services)

非オバマケア保険はすべてこの10の条件を満たさない保険で英語では「オルタナティブ カバレッジ(Alternative coverage)」や「オルタナティ プラン(Alternative plan)」などと呼ばれます。非オバマケア保険は、その名の通りオバマケアでの保険標準を満たさないので、しっかりとその内容を確認してから加入する必要があります。

失業などで職場の団体保険を失った場合は、個人で民間または連邦州政府の医療保険に加入することになります。失業時には18カ月間はCOBRA(コブラ)というつなぎ保険(職場で加入していた団体保険を、掛け金を全額自己負担して継続)も利用できます。

アメリカの医療費が高額な理由

医療費(診察報酬)が国の管理下にある日本と違ってアメリカでは医療機関や製薬会社が市場原理によって価格をコントロールします。そのためびっくりするような高額な医療費になる傾向があります。

日本では特定の治療をどこの医療機関やドクターで受けても費用は同じです。ところがアメリカでは医療機関やドクターによってかかる費用が異なることがあります。特に高額な治療が必要な場合は、複数の病院から見積もりをもらって交渉するということも起こります。

救急車は有料です。(走行距離によっては$1,000かかったという人も!)
救急センターでの処置を受けた場合、数千ドル(数十万円)の請求書が届いたり、普通分娩の出産で数万ドル(数百万円)の請求を受けることもあります。

保険に加入するには時期がある

アメリカの健康保険は基本的にカレンダーイヤー毎の契約、つまり1月1日から12月31日までの契約になります。その契約をするための期間は、毎年秋にあるオープン エンロールメント(Open Enrollment) と呼ばれます。

オープンエンロールメントは、65歳未満の人が加入する健康保険でいわゆるオバマケアのオープンエンロールメントと、65歳以上の人が加入するメディケア(Medicare)のオープンエンロールメントの2つがあります。例外で結婚や出産、離婚、退職、転居などの理由で保険を変更せざるを得ない場合のみ途中で加入することが出来ますが、基本的にその期間内に契約をしなければなりません。

5.eHealthの利用

医療保険を選ぶ時、住居エリアや年収などによって加入できる保険や掛け金が異なるため、
自分にはどんな選択肢があるかを一目で把握できる「イーヘルス(eHealth)」がとても役に立ちます。

ちなみに、2018年に加入していれば罰金を科されない適格保険と、それ以外のオプションも分かりやすく提示してくれます。eHealthでは歯科、眼科の保険や生命保険の一括見積が入手でき、その場で申込みもできます。

アメリカの代表的な医療ネットワーク


アメリカにはいくつかの医療保険ネットワークがありますが、中でも主な2つのネットワークがあります。

ーPPO(Preferred Provider Organization)
契約したネットワーク内からすべての専門分野で、かかりたい医療機関やドクターを選べます。ネットワーク外の医療機関を利用した場合は自己負担が割高になります。
お金より医療の質を優先したい、少し高額でもすぐに医師や専門医にかかりたい場合はこちらが良いでしょう。

ーHMO(Health Maintenance Organization)
主治医(Primary Doctor)を決め、原則的に主治医を通して治療を行います。専門分野のドクターにかかりたい場合は、主治医から紹介してもらいます。医療の質より医療費を節約したい人はこちら良いでしょう。

ニューヨーク市がこれから独自改革に乗り出す新しい医療制度

共和党のトランプ政権に対して民主党のビル・デブラシオ ニューヨーク市長が2019年1月8日“市民保険”とも言える、低所得者や不法滞在移民者も加入可能なヘルスケアプログラム「NYCケア」設立を発表しました。デブラシオ市長の計画では保険金の掛け金の支払い能力や滞在資格にかかわらず、基準を満たしたニューヨーク市の居住者すべてに加入資格が与えられるそうです。

なんと今現在、ニューヨーク市では約60万人の住民が健康保険を保持していないと言われています。市ではこのヘルスケアに年間およそ1億ドルがかかると予想しています。ニューヨーク市以外にも弱体化するオバマケアやトランプ大統領に見切りをつけ、カリフォルニア州、ワシントン州も独自の健康保険改革を進め始めました。

2020年の大統領選に向けて医療制度改革を狙う民主党の州知事や市長が、これから続々と州や自治体の公的健康保険制度改革を続けていくことが予想されるので、今後も医療システムは変化していくことでしょう。

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